一般質問 平成25年(2013年)6月議会

◆3番(林秀人) 
 議長のお許しを得ましたので、先に通告したキャリア教育について質問をいたします。
 今回、質問させていただくキャリア教育については、当初いわゆるフリーターやニー トと呼ばれる若年層の雇用問題への対策として、若者に勤労観や職業観を育み、自立できる能力を身に付けさせることを目的に、学校教育に導入されたもので す。新しい学習指導要領ではこれまで以上に学校教育におけるキャリア教育の推進が求められています。
 キャリア教育とは一人ひとりの社会的・職業的自立に向け、必要な基盤となる能力や 態度を育てることを通して、キャリア発達を促す教育と定義されています。キャリア教育のキャリアとは、生涯の中で様々な役割を果たす過程で、自らの役割の 価値や自分と役割との関係を見出していく連なりや積み重ねとされています。どちらも少しわかりにくい表現で理解しにくい文言となっていますが、端的に言え ば、社会に出て立派に働くことができる人になるための教育と言えるのではないでしょうか。
 このような教育が今の日本に必要とされることについては感覚的にも理解をするとこ ろであります。なぜなら自分自身も小学校・中学校で学んでいる頃は、今行っている学習が将来どのように役立つかはほとんど理解できていなかったからです。 このような学習と将来の仕事との関連性については、国際的な調査結果の中で日本の子どもたちの現状について知ることができます。
 平成19年に国際教育到達度評価学会(IEA)が実施した、国際数学・理科教育動 向調査、これはTIMSS調査と呼ばれておりますが、この結果においては、日本の中学生の成績はおおむね良好である一方で、自分が将来つきたい仕事のため に数学や理科でよい成績をとる必要があると答えた割合は国際平均を大きく下回っています。
 また、経済協力開発機構(OECD)が実施した生徒の学習到達度調査、これは PISA調査と呼ばれていますが、この調査の15年及び18年の結果においては、数学や理科の勉強からたくさんのことを学んで就職に役立てたい、また、将 来の仕事の可能性を広げてくれるから、数学や理科は学びがいがあると回答する高校生の割合が国際的に見て低いことが明らかとなっています。このように、我 が国の子どもたちは、他国に比べて将来つきたい仕事や自分の将来のために学習を行うという意識が低いことが明らかとなっています。
 このことから、学校教育においては、子どもたちが自らの将来に対する夢や憧れを 持ったり、将来つきたい仕事等を思い描いたりしながら、これらと学習との関連や、学習の意義を認識して意欲的に学習を進めていく気持ちや態度につながるよ う、働きかけていくことが課題であると考えられています。
 さらに、子どもの進路選択において、保護者が進路や職業に関する情報を十分に得ら れず、また、学校における進路指導が大学進学を第一としたものに偏りがちであるとの指摘もあります。この背景にある職業に関する教育に対する認識の不足 や、ある時点での専門分野、職業分野の選択がその後の進路を制限するという消極的な固定観念から脱却し、職業に関する教育をより重視していかなければなら ないことを社会全体で認識していく必要があります。
 若者の社会的・職業的自立や学校から社会・職業への円滑な移行に向けた支援は、関 係機関が連携して取り組むことが必要であり、その中で学校が果たす役割が重要であります。このことは、18年に改正された教育基本法や20年に策定された 教育振興基本計画にも掲げられており、喫緊の課題であるとされています。
 実は、学習と将来の仕事との関連性の低さが学習意欲を低下させているとの指摘もあります。キャリア教育により、将来の自分の目標や夢と、現在、行っている学習の関連を理解することにより学習意欲を高められると考えられています。
 このように、現在の日本では職業に関する教育の課題が山積しています。しかし、こ れらの課題は従来終身雇用の時代にあっては問題となっていませんでした。終身雇用が一般的であった時代は、長期雇用を前提としていたため、企業内教育・訓 練が手厚く行われており、学校は基礎的知識を身に付けさせ、職業に必要な知識・技能は主に企業内教育・訓練を通じて、仕事をしながら育成することが一般的 でありました。また、従来は身近なところで職業に触れる機会は多くあり、職業選択を行う上での情報収集は自然な形で充足されていたものと推察することがで きます。
 各種の調査の結果が示すとおり、現在の日本の教育は職業的に自立した人を育てるに は課題が多いことは事実です。子どもたちの将来の幸せのためにも、日本社会の将来の発展のためにも、キャリア教育の充実は必要不可欠だと考えています。私 は、このキャリア教育には日本社会の様々な課題を解決する力があると感じ、大変期待をしております。日本の産業が力を失っていったのは、国全体の創造力、 創造性の低下が主な原因だと考えています。キャリア教育の中では創造力も育成していくとしておりますので、長い目で見れば産業再生の大きな力になるものと 思います。
 また、本市においてもベッドタウンという現状から、大人になった子どもたちの多く が市外で働き知多市を離れていっています。キャリア教育の進展により起業家精神までも育むことができれば、知多市で育った子どもたちが知多市で起業すると いうことも期待をすることができます。
 このようなことから、知多市の学校教育においてどのようにキャリア教育が進められているのか、また、今後、どのように発展していくのかお聞きしたいと思います。
 そこで、1点目は現状の取り組みについてお伺いいたします。
 また、2点目として今後の取り組みについてお伺いいたします。
 先ほども申しましたように、キャリア教育については大変期待をするものでありま す。しかしながら、従来、社会や企業が担っていた職業教育の一部までも学校で教えていかなくてはならないというのは、なかなか大変なことだと感じておりま す。そこで、国の方針として、学校が社会と協働してキャリア教育を行っていくという方向性を打ち出しています。そこで、3点目、地域との連携についてお伺 いします。
 以上、3点お聞きいたしまして、壇上からの質問を終わります。
     (3番 林 秀人議員 降壇し質問席へ移動)
○議長(江端菊和) 
 市長。
     (市長 登壇)
◎市長(加藤功) 
 3番 林 秀人議員の御質問にお答えいたします。
 御質問の1番目、キャリア教育についてでございますが、キャリア教育は、子どもた ちが将来、社会的・職業的に自立し、社会の中で自分の役割を果たしながら、自分らしい生き方を実現する力を育むための教育であります。学校の特色や地域の 実情を踏まえつつ、子どもたちの発達の段階にふさわしいキャリア教育を日々の教育活動の中で推進し、子どもたちには未来をたくましく切り開いていくことの できる子に育ってほしいと願うものであります。
 御質問の1点目から3点目までにつきましては、教育長から答弁させますので、よろしくお願いいたします。
     (市長 降壇)
○議長(江端菊和) 
 教育長。
◎教育長(小宮克裕) 
 御質問の1番目、キャリア教育についての1点目、現状の取り組みについてでござい ますが、知多市では幼稚園・保育園と小学校、中学校との連携を軸に一貫したキャリア教育に取り組んでおります。幼稚園・保育園と小学校との間には接続カリ キュラムを作成し、また、小学校と中学校との間には接続カリキュラムだけではなく、中学校区ごとに職業観、勤労観を育む学習プログラムも作成し、運用して おります。
 小学校のキャリア教育は、係活動や当番活動を通して自分の役割を責任を持って果たすことを学ぶことから始まり、中学校になると様々な職業の社会的役割を考え、自分自身の進路選択まで考えることができるように系統立てた取り組みが展開されております。
 その中に社会見学、職場見学といった行事や小学校の「夢をはぐくむ あいち・モノ づくり体験」事業、中学校の「あいち・出会いと体験の道場」推進事業といった県の委託事業があります。また、市の委託事業である「魅力ある学校づくり推進 事業」のメニューにおいても、キャリア教育を位置付けており、各学校の創意工夫により充実したものになっております。
 小学校においては、佐布里小学校の梅を通した体験学習の場に、また旭北小学校では 校区の日長神社や日長川、新舞子海岸、ペコロス畑などでの調査活動に地域の方々をボランティア講師としてお願いしております。そこには、児童が目を輝かし て見学したり、インタビューしたりする姿があり、大変有意義な取り組みと考えております。そのほかにも、つつじが丘小学校ではパソコンの指導、旭東小学校 では地元の陶芸家を講師に陶芸教室を開催しており、各学校で地域の教育力を活かした活動が進められております。
 中学校では様々な職種の先輩を招き、職業観を育む学習として生き方教室を開催しており、いずれも子どもたちが将来の生き方について真剣に考えるきっかけづくりになっております。
 次に、2点目、今後の取り組みについてでございますが、現在の取り組みについて抜 本的な見直しを図るといった大きな方針変更はありませんが、これからも幼・保・小・中の連携がさらに深まっていく中で、中学校区ごとの取り組みが子どもた ちの姿に沿った形でより充実したものになっていくように、機会を捉えて働きかけていきたいと考えております。
 今後も、カリキュラムの改善を行っていくとともに、一貫した対応をより充実させ、知多市の子どもたちに夢と希望を与えるような取り組みにしていきたいと考えております。
 次に、3点目、地域との連携についてでございますが、子どもたちの職業観を育んで いく上で、保護者や地域の方々の存在は欠かせないものであります。子どもたちは地域の中で大人の背中を見て育ちます。キャリア教育という視点ではもち論で ございますが、正しい規範を示すなど、健全育成や生涯学習につながる意欲づくりの点からも協力いただければ幸いです。これからも引き続き保護者や地域の 方々には働くことの意義をその姿で示す身近な大人として、また授業や行事のゲストティーチャーとして知多市の明日を担う子どもたちの未来のために、支援と 協力をお願いしたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
○議長(江端菊和) 
 林議員。
◆3番(林秀人) 
 ありがとうございました。
 各学校ごとにその地域の特色を活かした体験的な学習を地域の方の御協力のもと、 キャリア教育の一環として幅広く行われていることが理解できました。また、中学校区ごとの取り組みや子どもたちに夢と希望を与えるような新たな取り組みの 検討をしていただけるということで、心強く感じる次第であります。
 また、地域に支援や協力を求める方針も確認させていただきました。
 それでは、地域との連携について1点再質問をさせていただきます。
 キャリア教育についていろいろと調べていくと、全国各地でいわゆるおやじの会と言 われる組織がキャリア教育に参画をしているという情報をよく目にします。確かに親父と言われる人たちはそれぞれ専門職業を持つ社会人であり、身近な職業人 として、職業に関する情報提供等を行うにはうってつけの人材であると言えます。さらに、おやじの会に参加する方たちはボランティア精神も持ち合わせている と考えられますので、そのような方たちが組織化されたおやじの会は、地域と連携したキャリア教育の担い手としては大きな可能性を秘めていると思います。実 は私も子どもが通わせていただいていた地元のつつじが丘小学校のおやじの会に参加をさせていただいており、会員からもキャリア教育への参画を行っていきた いとの声も聞いております。私は、このような専門職業を持つ保護者による、いわゆるおやじの会等におけるキャリア教育への参画は大変有効であると考えま す。
 そこで、キャリア教育と地域支援の結びつきについてどのように考えておられるのかお伺いいたします。
○議長(江端菊和) 
 教育長。
◎教育長(小宮克裕) 
 御質問の件につきましては、議員がおっしゃるとおり、つつじが丘小学校のおやじの 会は開校40周年記念行事の際にも大きな力を発揮していただきました。商業誌でも大きく取り上げられましたが、段ボールを活用し、体育館に宿泊するという ユニークかつタイムリーな取り組みは記憶に新しいところであります。これは、教育委員会といたしましても、近年の防災教育にかかわって、学校と地域が協力 して行った意義ある取り組みだと考えております。ご存じのとおり、愛知県でのおやじの会は、校内暴力が吹き荒れた中学校で親父の力を導入し、学校を鎮静化 しようとしたことが始まりであります。その後、知多半島でも幾つかのおやじの会ができましたが、現在は父親のボランティア精神と協働の精神に基づき、自然 発生的に学校支援をしていただいている団体がほとんどであります。つつじが丘小学校のおやじの会も愛するおらが学校に親父の力をということで、忙しいお父 さんたちが結集したと聞いております。
 先にお答えいたしましたとおり、キャリア教育についてもそうでございますが、現在 の学校はこのような地域の力をお借りして成り立っているのが現状でございます。学校教育内容は多様化し、幅広い分野の教育指導に当たっておりますので、学 校の教員だけでは十分ではありません。授業のゲストティーチャーを始め、いろいろな場面で地域の方に学校支援をいただいております。つつじが丘小学校のお やじの会を始め、このような地域の力が学校をお支えいただけることに感謝し、今後とも学校・家庭・地域の連携による学校教育の推進に一層努力していきます ので、よろしくお願いいたします。
○議長(江端菊和) 
 林議員。
◆3番(林秀人) 
 ありがとうございました。
 おやじの会に限らず地域の商工団体や経営者の集まりなどにキャリア教育に参画していただき、子どもたちに本物の職業に関する情報をできる限り提供していただけるようにしていただきたいと思います。
 文部科学省が設置したキャリア教育における外部人材活用等に関する調査研究協力者 会議が平成23年12月に、学校が社会と協働して一日も早く全ての児童生徒に充実したキャリア教育を行うためにというキャリア教育に関する報告書を作成し ました。この中で、地域・社会や企業等がキャリア教育に参加することの意義についてという項目において、特に日本の地方都市においては、地域で育てた子ど もたちが、その地域で就職せず、その地域を離れてしまうということに対する危機感がある。子どもたちに自分たちの住む地域や地元の産業・企業の魅力に気づ くようにしていくことが地域の課題となっているという記述があります。つまり、このような地域では、特に地域・社会や企業等がキャリア教育に参加する意義 が大きいということです。本市においても、地域で育てた子どもたちが、その地域で就職せず、その地域を離れてしまうという課題を抱えておりますので、キャ リア教育の充実は課題解決に大いに役立つものと考えられます。
 従来、学校教育は教育のプロフェッショナルである先生方がそのほとんどを担ってい ただいていたわけでありますが、このキャリア教育を行っていく中では、地域・社会・企業などの参加も必要不可欠となります。求められているのは地域・社 会・企業の支援や協力ではありません。あくまでも協働でありますから参画をしていただかなくてはなりません。コーディネーター役を担っていただく学校や教 育行政には大変な御努力をいただくことになるものと思います。キャリア教育の理想を実現していくには、かなり厳しい道のりになると私は考えています。しか しながら、子どもたちの将来のため、キャリア教育の進展にお力を尽くしていただくことを要望し、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○議長(江端菊和) 
 3番 林 秀人議員の質問を終わります。
     (3番 林 秀人議員 自席へ移動)

知多市議会議員 林秀人

林秀人後援会
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