一般質問 平成25年(2013年)3月議会

私、林秀人の行いました知多市議会平成25年3月定例会での一般質問の映像を掲載させていただきます。
今回の一般質問は「困難を有する子ども・若者への支援について」質問しました。25分と長い映像ですが、お時間ある方はぜひ、ご覧下さい。

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◆3番(林秀人)
議長のお許しを得ましたので、先に通告した困難を有する子ども・若者への支援について質問をいたします。
現在、日本国内にはひきこもりや若年無業者など、社会生活を営む上での困難を有す る多くの子ども・若者がいます。厚生労働省による調査の推計では、ひきこもりの方のいる世帯数は約32万世帯とされています。このような社会情勢に対応す るため、行政においても様々な支援に取り組まれています。しかしながら、実際には、例えば不登校への支援は教育部局、就労や雇用に関する支援は労働部局、 公的扶助が必要であれば福祉部局など、困難の局面によって支援窓口が異なっているのが現状です。また、有害情報の氾濫といった子ども・若者をめぐる環境の 悪化、ニート、ひきこもり、不登校や発達障害といった子ども・若者の抱える問題の深刻化など様々な問題が顕在化しています。
このように多様化する諸問題に対し、従来の個別、縦割り的な対応では限界が見ら れ、ワンストップの支援体制の構築が求められてきました。こうした背景から、国においては平成21年7月に子ども・若者育成支援推進法が成立し、平成22 年4月から施行されております。この法律の具体的な内容として、教育、福祉、保健、医療、矯正、更生保護、雇用など、各分野にわたって子ども・若者育成支 援施策の推進を図るため、国は子ども・若者育成支援推進大綱を作成すること、また、就学及び就業のいずれもしていないなど、社会生活を円滑に営む上で困難 を有する子ども・若者への支援を行う地域ネットワークづくりを推進することなどが目的として掲げられております。
なお、この子ども・若者育成支援推進大綱については、平成22年7月に子ども・若者ビジョンという名前ですでに作成されております。
こうした国の方針を受け、愛知県においても子ども・若者の健やかな成長と自立を支 援するための行動指針であるあいち子ども・若者育成計画2010の策定に際し、子ども・若者育成支援推進法の趣旨などを勘案してニート、ひきこもり、不登 校など、社会生活を円滑に営むことのできない子ども・若者の支援を施策の柱の一つに位置付けております。このように、子ども・若者育成支援推進法は、行政 の各部門、ボランティア、NPOなどの民間支援組織、企業などが連携して困難を有する多くの子ども・若者を適切な支援に導く体制を地域の中につくっていく ことを目指しています。つまり、この法律の目的、目指すところは、優しい社会の構築にあるのではないかと私は感じております。
知多市においても困難を有する子ども・若者への支援体制を確立し、今以上に優しいまちにしていきたいと考え、質問に入ります。
まず、1点目、ひきこもり等の状況について。2点目、現状における対応についての1つ目、相談窓口について。2つ目、支援事業の状況について。3点目、今後の支援に向けた考えについて。
以上、お伺いして壇上からの質問を終わります。
(3番 林 秀人君 降壇し質問席へ移動)

○議長(大島大東)
市長。
(市長 登壇)

◎市長(加藤功)
3番 林 秀人議員の御質問にお答えいたします。
御質問の1番目、困難を有する子ども・若者への支援についてでございますが、様々 な要因からひきこもりやニート、不登校などを生じ、長期間にわたり社会活動に参加できない子どもや若者が増加しており、これらは家庭や社会などの環境変化 に起因する課題であると認識しているところでございます。御質問の1点目から3点目までにつきましては、教育部長から答弁させますので、よろしくお願いい たします。
(市長 降壇)

○議長(大島大東)
教育部長。

◎教育部長(及川一男)
御質問の1番目、困難を有する子ども・若者への支援についての1点目、ひきこもり 等の状況についてでございますが、ひきこもりに関し、厚生労働省では様々な要因の結果として社会的参加を回避し、原則的には6か月以上にわたっておおむね 家庭にとどまり続けている状態とのガイドラインを示しています。しかしながら、こうした定義に基づき、ひきこもりの方を抽出し、調査を実施することは現実 的には困難であります。
一方、内閣府では平成22年に全国の15歳以上39歳以下の方から無作為に 5,000人を抽出し、ひきこもりに関する実態調査を実施しています。この調査による広義でのひきこもりとされる自室からほとんど出ない、自室からは出る が家からは出ない、近所のコンビニなどには出かける、自分の趣味に関する用事の時だけ外出するとの項目に該当すると答えた割合は全体の1.79パーセント であり、これにより推計される数としては全国で69万6,000人とされています。
また、この割合で15歳から39歳までの人口数に当てはめると、愛知県では約4万3,000人、知多半島5市5町では約3,500人、知多市においては約470人となります。
次に、高校や大学に通学しておらず、独身で普段収入になる仕事をしていない15歳 以上35歳未満の個人、いわゆるニートでありますが、これにつきましても、実数は把握されておらず、総務省が平成19年に実施した就業構造基本調査をもと に、割合で推計した結果では、人口の1.8パーセントとなっており、ひきこもりとほぼ同数でありますが、ニートの人の中にはひきこもり問題を抱えている方 も少なからず含まれていると思われます。
次に2点目、現状における対応についての1つ目、相談窓口についてでございます が、ひきこもり等の原因は人それぞれで、様々な要因が絡み合っています。例えば、その背景に精神や発達障害がある場合には、保健所や専門の医療機関での、 高校生以下の方の場合は児童相談所や教育研究所などでの対応が必要となります。また、相談内容によっては就労に係るものや本人、家族同士の心の交流の場に よるケアなども求められる場合があります。本市におけるひきこもり等の方や家族の方への専門相談員による相談としては、知多保健所がメンタルヘルス相談、 社会福祉協議会が若者サポート相談の窓口を設置し、不安や悩みを軽減するためのアドバイスを行っております。しかし、より支援を有効なものにするために は、様々な支援機関が相互に連携を図っていくことが必要であります。こうしたことも踏まえ、本市では知多4市5町と連携し、知多地域子ども・若者支援連絡 会議において、知多地域における子ども・若者を支援する行政機関や民間団体等をまとめた知多地域子ども・若者支援機関マップを作成するとともに、支援機関 に配布し、連携と啓発に努めております。
次に、2つ目、支援事業の状況についてでございますが、ひきこもり等の困難を有す る方への支援については、市の主催事業として毎年、青少年居場所づくり事業をボランティア団体等に委託して実施しております。24年度の委託事業の内容と いたしましては、不登校及び高校中退の状況にある方やその家族を対象に進学や就労、居場所の情報提供などを行う若者サポート進路を考える会と、ひきこもり や不登校などの理解を深め、本人を支えるために何が必要なのかを一緒に考えるための「ひきこもる若者の心~孤立からつながりの回復まで~」と題した講演会 を若者サポートセミナーとして実施いたしました。
一方、ひきこもりや不登校の方が気軽に立ち寄れる居場所として、社会福祉協議会の 登録団体であるボランティア団体、若者応援隊まなざしが福祉活動センターにおいてフリースペースまなを開設し、また、不登校生やひきこもりの方を持つ家族 が日ごろの悩みや不安を話し合う場として家族サロンを不登校生・ひきこもりの方の明日を考える会、トゥモローネットが運営しております。
次に、3点目、今後の支援に向けた考えについてでございますが、ひきこもり等の課 題に対応するためには、支援を必要とするようになった経緯や原因、目指すゴールや家庭環境など、個々の事例に基づきその違いをよく理解した上での相談や対 応が求められます。また、社会復帰をするための居場所の紹介、精神保健のクリニック、就労への支援など、各支援機関のネットワークを図ることが大切であり ます。このため、現在、相談業務を実施している知多保健所では、ひきこもり支援ネットワーク会議を、社会福祉協議会では、昨年10月に知多市ひきこもり支 援ネットワーク推進委員会を立ち上げ、関係機関・団体との情報交換や共有を図っており、市からも関係各課が各会議や委員会に参画しております。ひきこもり 等の支援に向けましては、こうした各支援機関のネットワークや情報の共有化、連携を図ることが重要であります。さらに本市におきましては、各種ボランティ ア団体による居場所づくりの活動や精神保健福祉活動、医療的な支援が必要な場合の診療所、就労支援に携わるちた地域若者サポートステーションなどが活動を 展開していることから、今後も関係団体や支援団体の協力関係が円滑に構築できるよう、連絡調整を図るなどの支援に努めていきたいと考えております。
また、これからの支援対策として、ひきこもり訪問支援事業への取り組みが社会福祉 協議会で検討されており、これに携わるサポーターの養成にも取り組まれているとのことであります。市といたしましても、こうした事業の推進に関し、支援を していく考えでありますので、よろしくお願いたします。

○議長(大島大東)
林議員。

◆3番(林秀人)
御答弁ありがとうございます。
国においてひきこもりの方の現状を調べるために、全国から5,000人を抽出した 調査が行われていますが、実数の把握はされていないとのことです。知多市における実数においても、現状では把握は困難であると考えます。確かに、全国的に も実数調査の事例は少ないと言えます。しかしながら、支援の手を差し伸べるには、支援を必要とされる方に様々な情報が伝わることが大切であります。一方 で、市内においてもボランティア団体による居場所づくりなどを展開していただいていること、また、支援機関の連携のための組織が立ち上がっていることは心 強く感じるところであります。
それでは、再質問させていただきます。
まず、1点目ですが、若者サポート相談の実績と相談内容についてお聞きいたします。

○議長(大島大東)
教育部長。

◎教育部長(及川一男)
御質問の件でございますが、若者サポート相談事業は第1、第3、第5の木曜日及び 第2、第4月曜日の午後1時から3時50分まで福祉活動センターにおいて実施されています。相談件数につきましては、21年度が105件、22年度が 121件、23年度が124件、24年度が2月までで99件と聞いております。相談内容といたしましては、不登校、ひきこもりなどが主となっていますが、 具体的には友人関係がうまくいかず不登校となった、就職をしたが会社に行けなくなりひきこもってしまった、高校から不登校となり、以来ひきこもりがちで自 分の進むべき道が見つからず苦しんでいるなどの相談を受けているとのことでありますので、よろしくお願いします。

○議長(大島大東)
林議員。

◆3番(林秀人)
ありがとうございました。
相談実績として、毎月5回、年間で60回。およそ年間120件の相談を受けられているとのことですが、ぜひ今後も啓発やPRを積極的に行っていただき、困難を有する若者の力になっていただきたいと思います。
次に、青少年居場所づくり事業の評価についてをお聞きいたします。

○議長(大島大東)
教育部長。

◎教育部長(及川一男)
御質問の件につきましては、居場所づくりの2事業の実施に当たり、それぞれ参加者 のアンケートを行っております。その結果では、若者サポート進路を考える会につきましては、一人ひとりの体験談が心にしみ、勇気づけられた。学校の特徴が よくわかった。様々な進路を知ることができてよかったなどの感想がありました。また、若者サポートセミナーにつきましては、ひきこもりに対する具体的な事 例の紹介があり、とても参考になった。つらい思いを抱えている若者の気持ちが少しわかったような気がする。講師の説明がわかりやすかったなどの感想が寄せ られておりました。したがいまして、青少年の居場所づくり事業として、今後も継続して実施していく考えでありますので、よろしくお願いいたします。

○議長(大島大東)
林議員。

◆3番(林秀人)
ありがとうございました。
私も若者サポートセミナーに参加させていただき、白梅学園大学の長谷川俊雄教授の講演を聞かせていただきました。電子メールを活用するなどし、ひきこもりの若者に対してやさしさあふれる支援をされている先生のお話は大変参考になりました。
次に、子ども・若者育成支援推進法では、地方公共団体に対し、社会生活を円滑に営 む上での困難を有する子ども・若者に対する支援が効果的かつ円滑に実施されるよう、関係機関等により構成される子ども・若者支援地域協議会の設置に努める ことを求めています。愛知県では、知多半島5市5町で1つの協議会をつくることを提唱されたと聞いていますが、子ども・若者支援地域協議会の設置に向けた 検討状況についてお聞きいたします。

○議長(大島大東)
教育部長。

◎教育部長(及川一男)
御質問の件につきましては、5市5町で協議をいたしましたが、地域協議会の設置には至りませんでした。しかしながら、各市町のネットワークや情報交換をする場として、地域連絡会議を継続して実施していくことが確認されておりますので、よろしくお願いいたします。

○議長(大島大東)
林議員。

◆3番(林秀人)
ありがとうございました。5市5町での子ども・若者支援地域協議会は設置に至らな かったとの御答弁をいただきました。私は地域協議会の設置を急ぐ必要はないと感じていますが、国の目指す支援体制の構築が早いにこしたことはありません。 現状の地域連絡会議の中から新たな枠組みをつくり出していただければと思います。
次に、ひきこもりの方などは自ら相談窓口に出向くことは難しいと考えます。先ほど の御答弁にもありましたが、より積極的な支援手段として、子ども・若者の自宅などにおいて支援を行う訪問支援、これはアウトリーチと呼ばれておりますが、 この訪問支援事業の検討内容についてお聞きいたします。

○議長(大島大東)
教育部長。

◎教育部長(及川一男)
御質問の件につきましては、ひきこもりの支援に向けましては相談者が自ら足を運ぶ 来所型の支援だけではなく、本人の状態や状況を踏まえ、訪問型の支援も視野にこれらを適切に組み合わせた支援を展開することが必要だと考えられます。この ため、現在、来所型の相談業務を実施している社会福祉協議会では、訪問型支援の実施に向けて相談業務を担うサポーターを養成するための研修会も実施してい るとのことでありますので、よろしくお願いいたします。

○議長(大島大東)
林議員。

◆3番(林秀人)
ありがとうございました。
先ほども申しましたように、ひきこもりの方は自ら居場所や相談窓口などに出向くこ ともなかなか難しいと感じています。訪問支援は有効な手法であると考えられますが、課題も多いと聞いております。慎重に進めていただかなければならないと 思いますが、早期に事業を開始していただけるよう支援していただきたいと思います。
愛知県のホームページに、ひきこもりについてという文章があります。その中に、ひ きこもりは甘えや怠けではありません、ましてや単一の病気でもありません、との記述があります。戦後の復興を支えられ、高度経済成長を成し遂げられた世代 の方には、今の若者は頼りなく映り、甘えている、怠けていると思われている方も見えるかもしれません。しかし、今の若者は人間として最も大切なやさしさを 持っていると感じます。先輩世代の強さ、たくましさと若者世代のやさしさと繊細さをそれぞれ持ち寄ったらとてもよい社会になると思います。
それでは、要望に入らせていただきます。
私は今回の質問をさせていただくに当たり、数か所で支援団体の活動状況を見せてい ただいたり、支援の課題等をお聞かせいただいたりしました。その中で、居場所に来られるようになった方の次の段階として就労というステップがありますが、 ひきこもりだったり、ニートだったりした方がすぐに一般企業で働くことは困難であるということ、そのための中間的なステップである緩やかな働き方、いわゆ る、中間的就労の場が必要であるとの声をお聞きしました。中間的就労は昨今、新聞やテレビなどでも報道されるようになりましたが、一般的な職業につく一般 就労を直ちに目指すことが困難な人が、本格的な就労に向けた準備の一環として日常生活の自立や社会参加のために働くことができる就労機会のことです。日本 では生活保護費の急増を抑制する方策の一つとして、生活保護受給者に対する中間的就労の機会の提供などが政策課題として議論されるようになり、2012年 7月31日に閣議決定された日本再生戦略においても重要施策の一つとして中間的就労の場の提供が盛り込まれました。
今回はひきこもりの方の支援を中心に質問いたしましたが、困難を有する子ども・若者の中には就労についての問題を抱えた方も多く見えます。今後は中間的就労の取り組みも進めていただきたいと思います。
知多市は一般就労の場は他市町に比べ少ない状況ですが、中間的就労については他市町の先駆けとなるようサポートに取り組んでいただきたいと思います。
以上、要望いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)

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