一般質問 平成26年(2014年)9月議会

◆5番(林秀人)
議長のお許しを得ましたので、先に通告したシニア世代の生きがいづくりについてお伺いいたします。
一般に、65歳以上の方を高齢者、その中でも65歳から74歳までの方を前期高齢者、75歳以上の方を後期高齢者と言いますが、今回は広く定年退職後の方を対象として使われるシニア世代に着目し、シニア世代の生きがいづくりについてを質問項目とさせていただきました。
老人福祉法の第2条には、基本理念として「老人は、多年にわたり社会の進展に寄与してきた者として、かつ、豊富な知識と経験を有する者として敬愛されるとともに、生きがいを持てる健全で安らかな生活を保障されるものとする」とあります。
私は、以前から、地域のシニア世代の方々から、高齢者の余暇活動の充実に力を入れてほしいとの要望をいただいており、この分野で何とか提言できないものかと考えていました。また、この7月と8月に、関連する視察や研修で学ぶ機会があり、シニア世代の余暇活動の充実、ボランティアや就労を通じた社会貢献活動などによる生きがいづくりが、シニア世代の幸福度の向上のみならず、社会全体に よい効果を与えるという確信を持つことができました。
ここで、内容について少し御紹介させていただきます。
まず、創政会で7月に実施した秋田県秋田市の視察では、エイジフレンドリーシティ 構想について学ばせていただきました。エイジフレンドリーシティとは、高齢者にやさしい都市という意味で、世界保健機関(WHO)において提唱されており ます。秋田市では、この構想に基づくプロジェクトにより、様々な事業を行っていましたが、その一つとして、介護支援ボランティア制度を実施しています。こ の制度では、高齢者が自身の介護予防のために行ったボランティア活動について、実績によりポイントが付与され、そのポイントに応じて年間上限5,000円 の交付金が交付されます。生きがいとやりがいが介護予防につながり、介護給付金の抑制につながるのではないかと感じました。
また、8月1日には、知多北部三市議会議員研修会で地域における認知症予防のス キームを研修させていただきました。この研修の中で、運動は認知機能を向上させ認知症のリスクを軽減することを学びました。漫然と体を動かすよりも脳の活 性化を図り、記憶したり計算したりしながら運動すると、さらに効果が高まるとのことでした。以前から、本市の老人クラブの活躍が著しいグラウンドゴルフも 効果のあるスポーツの一つと感じていましたが、スコアを記憶したり計算しながらプレイするなど、脳の活性化を図ることができれば、認知症予防にも効果的で あると考えられます。
老人クラブは、老人福祉法第13条第2項において「地方公共団体は、老人の福祉を 推進することを目的とする事業の振興を図るとともに、老人クラブその他、当該事業を行う者に対して、適当な援助をするように努めなければならない」と位置 付けられています。この条項をもとに、国の老人クラブ活動等事業運営要綱に基づき県補助金が交付され、それを財源として老人クラブ及び老人クラブ連合会に 対し公的な補助が行われています。
このように老人クラブは、老人福祉の増進のための事業の一つとして、シニア世代の生きがいづくりの中心的存在といっても過言ではありません。
そこで1点目、老人クラブについての1つ目、加入率について。2つ目、現在の活動内容と課題についてお聞きいたします。もち論、老人クラブに加入されている方だけではなく、全てのシニア世代の方が生きがいを実感できるよう取り組みを進めていただくことが重要です。
そこで2点目、生きがいづくりに向けた今後の取り組みについての1つ目、余暇活動について。2つ目、社会貢献活動について。
以上お伺いして、壇上からの質問を終わります。
(5番 林 秀人議員 降壇し質問席へ移動)
○議長(江端菊和)
市長。
(市長 登壇)
◎市長(宮島壽男)
5番 林 秀人議員の御質問にお答えいたします。
御質問の1番目、シニア世代の生きがいづくりについてでございますが、先の厚生労 働省の発表によれば、我が国の男性の平均寿命につきましても80歳を超える状況となりました。60歳で定年を迎えたとして、さらに20年余りをいかに心身 ともに健康で有意義に暮らしていくかが重要でございます。
本市では、高齢化率が既に24パーセントを超え、行政としても正面から捉え、高齢者の生きがいづくり、健康づくりを含めた施策の推進に努めなければならないと考えております。
御質問の1点目及び2点目につきましては健康福祉部長から答弁させますので、よろしくお願いをいたします。
(市長 降壇)
○議長(江端菊和)
健康福祉部長。
◎健康福祉部長(永井誠)
御質問の1番目、シニア世代の生きがいづくりについての1点目、老人クラブについ ての1つ目、加入率についてでございますが、知多市老人クラブ連合会は、それぞれの地区の単位老人クラブで構成され、会員の親睦と広く老人福祉に寄与する ことを目的として活動しております。単位老人クラブは、各地区にお住まいの60歳以上の方であればどなたでも加入でき、現在は市内に84クラブが組織さ れ、会員数は平成26年4月1日現在で9,528人の方が登録されております。加入率は60歳以上の人口2万6,628人に対する会員数の割合で35.8 パーセントとなります。また、直近の3年間の加入率の推移でございますが、23年度は40.4パーセント、24年度は38.6パーセント、25年度は 36.9パーセントとなっております。
次に2つ目、現在の活動内容と課題についてでございますが、老人クラブでは、健 康・友愛・奉仕の全国三大運動の推進を始め、生活を豊かにする活動や地域を豊かにする社会活動に取り組んでいます。具体的には、心と体の健康づくり活動と して、各地区でのグラウンドゴルフ、歩け歩け運動、奉仕活動として、地域での清掃活動、美化運動を始め町内会と協力し防犯・防災の見守り活動等を実施、ま た、友愛活動として、市から委嘱された老人クラブ会員により毎月ひとり暮らし高齢者宅を訪問し、話し相手や困り事の相談に応じるなど、様々な活動が行われております。
一方、27年度に単位老人クラブの組織化に向けた新たな動きがあるものの、加入率 の推移を見ますと残念ながら年々減少の傾向にあり、会員数の減少に伴いクラブ数も減少している状況となっております。連合会においても、この傾向を憂慮 し、会員確保に向けて努力されているようですが、今後は新たな会員の確保に向け魅力ある老人クラブへの取り組みや市としての支援のあり方が課題であると考 えております。
次に2点目、生きがいづくりに向けた今後の取り組みについての1つ目、余暇活動に ついてでございますが、余暇に対する考え方や取り組みは、人によって様々であり、今後はますます多様化していくものと思われます。こうした状況において は、市民グループやNPOと協働し、高齢者同士が様々な形で交流を深めることができる環境づくりを支援していくことが必要であります。また、活動の拠点を 確保する必要もあることから、老人福祉センターを始めとする公共施設や地域の空き家等の有効的な使用についても検討していかなければなりません。これから は健康で長生きすることがますます重要であります。市としましては、余暇活動を通じて健康づくりや認知症対策を含む介護予防などの事業につなげていけるよう取り組んでまいります。
次に2つ目、社会貢献活動についてでございますが、シニア世代の社会貢献活動に対 する意識や意欲について、国の調査でも社会のために役立ちたいと思っている方は7割近くあり、市内各地区での市民グループの活動からもうかがえるように潜 在的にはかなりのパワーがあるものと捉えております。
一方で、社会貢献に対して関心はあるものの、情報がない、仲間がいない、よくわか らないといった声も多くあるため、こうした社会貢献に対する意欲を掘り起こすこと、さらにその意欲を持続させる支援が必要であります。元気で高い意識を 持った高齢者の方々も地域の大きな資源の一つであるため、地域やNPO法人等と連携し、知識・経験を熱意・意欲にうまくつなげ、活動や参加の場に結び付けることが必要であると考えております。
また、社会貢献の一つには、労働力としての活用ということも考えられますので、シルバー人材センターと連携して雇用の推進も図ってまいりますので、よろしくお願いいたします。
○議長(江端菊和)
林議員。
◆5番(林秀人)
御答弁ありがとうございます。
それでは、再質問させていただきます。
まず、老人クラブの加入率の推移について、低下傾向にあるとのことですが、加入率低下の原因についてどのように考えておられるかお聞きいたします。
○議長(江端菊和)
健康福祉部長。
◎健康福祉部長(永井誠)
御質問の件につきましては、団塊の世代の方々の新規加入が少ないためであると考えておりますので、よろしくお願いいたします。
○議長(江端菊和)
林議員。
◆5番(林秀人)
ありがとうございました。団塊の世代の方々の加入が少ないとのことですが、この傾向は全国的にも課題となっているようです。
次に、老人クラブに加入されている方の男女比率の実数についてお聞きいたします。
○議長(江端菊和)
健康福祉部長。
◎健康福祉部長(永井誠)
御質問の件につきましては、平成26年4月1日現在で男性4,668人、女性4,860人で、ほぼ均衡した加入状況となっておりますので、よろしくお願いいたします。
○議長(江端菊和)
林議員。
◆5番(林秀人)
ありがとうございました。次に、知多あったか長寿プラン21知多市高齢者保健福祉 計画第5次改訂のアンケート調査で、「あなたは老人クラブに加入していますか」との問いに対する小学校区ごとの回答を見ますと、地域間でかなりの格差があります。これはアンケート結果ですので、実数とは異なっていると考えられますが、加入率の地域間格差の実数についてお聞きいたします。
○議長(江端菊和)
健康福祉部長。
◎健康福祉部長(永井誠)
御質問の件につきましては、小学校区単位で比較しますと、加入率が一番低い地区は 佐布里小学校区で13.3パーセント、一方、一番高い地区は南粕谷小学校区で93.5パーセントとなっており、新興住宅地のほうが加入率が低い傾向にあり ますので、よろしくお願いいたします。
○議長(江端菊和)
林議員。
◆5番(林秀人)
ありがとうございました。実に加入率で7倍の差があるということをお聞きして、大 変驚きました。地域の特性ということもあるかと思いますが、加入率の高い地域には運営ノウハウなど何らかの加入率向上に向けてのヒントがあるのではないか と思います。詳しい内容の分析をしていただき、加入率の向上に役立てていただきたいと思います。
次に、老人クラブの加入率について、近隣市の状況についてお聞きいたします。
○議長(江端菊和)
健康福祉部長。
◎健康福祉部長(永井誠)
御質問の件につきましては、平成26年4月1日現在の状況では、東海市23.9パーセント、大府市19.0パーセント、半田市19.9パーセント、常滑市33.3パーセントで、県内の全市の平均は22.1パーセントでございますので、よろしくお願いいたします。
○議長(江端菊和)
林議員。
◆5番(林秀人)
ありがとうございました。知多市内の加入率がおおむね40パーセントでありますので、近隣市、県内の全市と比較しても非常に高い加入率であることがわかりました。知多市の老人クラブがとても活発に活動しておられるあかしであると心強く感じております。
次に、会報等老人クラブの情報発信についてお聞きいたします。
○議長(江端菊和)
健康福祉部長。
◎健康福祉部長(永井誠)
御質問の件につきましては、特に市内の単位老人クラブや連合会でも会報などは発行 しておりません。情報の共有は、連合会役員会、常任委員会等の会議や単位老人クラブの会合などを通じて図られ、クラブ間の交流は連合会等の主催の各種大会 を通じて図られておりますので、よろしくお願いいたします。
○議長(江端菊和)
林議員。
◆5番(林秀人)
ありがとうございました。特に情報発信はしていないとのことでしたが、知多あった か長寿プラン21知多市高齢者保健福祉計画第5次改訂の中のアンケートでは、老人クラブに加入していない理由として、活動内容や実態がよくわからないとい う回答が16.7パーセントあります。特に団塊の世代の方はインターネットを活用されている方も多いようです。情報発信にも力を入れていただけるよう御支 援をお願いいたします。
次に、シニア世代の趣味や活動は多様化していると感じております。そこで、老人クラブのサークル活動の多様化、また、その支援についてお聞きいたします。
○議長(江端菊和)
健康福祉部長。
◎健康福祉部長(永井誠)
御質問の件につきましては、老人クラブ連合会におきましてもクラブの活性化について検討しておりまして、先進地の活動事例を視察するなど対策に向けた活動も見られます。市としましては、こうした活動への支援を今後とも行ってまいりますので、よろしくお願いいたします。
○議長(江端菊和)
林議員。
◆5番(林秀人)
ありがとうございました。ぜひ御支援をよろしくお願いいたします。
次に、生きがいづくりに向けた今後の取り組みについての再質問ですが、社会貢献においてボランティアの活用は有効と思いますが、有償ボランティアも含めて今後の取り組みについてお聞きいたします。
○議長(江端菊和)
健康福祉部長。
◎健康福祉部長(永井誠)
御質問の件につきましては、現在でも有償によるボランティア活動を行うNPOがあ りますが、今後、介護保険制度の改正により、在宅での生活支援サービスを充実させる手法として、ボランティアの活用を図る必要があり、広範な担い手の確保 と持続性を維持するため、何らかの付加価値または謝礼などを含んだ制度の組み立てについて、先進事例も参考にして検討してまいりますので、よろしくお願い いたします。
○議長(江端菊和)
林議員。
◆5番(林秀人)
ありがとうございました。有償ボランティアは全国的にも導入が進んでいるようです。早期に導入できるよう検討を進めていただきたいと思います。
次に、スポーツや文化活動も生きがいづくりには欠かせない余暇活動であります。毎年、スポーツや文化種目の交流大会を始め健康や福祉に関する多彩なイベントが行われるねんりんピックが開催されていますが、こちらへの知多市からの参加状況についてお聞きいたします。
○議長(江端菊和)
健康福祉部長。
◎健康福祉部長(永井誠)
御質問の件につきましては、実績としまして、23年度はテニス2名、ダンススポー ツ2名。24年度はテニス2名、25年度は剣道1名、将棋2名で、それぞれ参加していただき、御活躍いただいております。この26年度につきましては、テ ニス1名の方が参加予定の状況でありますので、よろしくお願いいたします。
○議長(江端菊和)
林議員。
◆5番(林秀人)
ありがとうございました。様々な分野で全国レベルの大会に出場されている方がおみえであることがわかりました。参加される方がふえるように御支援いただきたいと思います。
それぞれの質問に対して御答弁をいただき、ありがとうございました。シニア世代の 生きがいづくりの中心的な受け皿である老人クラブの活動について、加入率の低下という課題はあるにせよ、活発に活動していただいていることがわかりまし た。今後ますます老人クラブが発展できるよう引き続き御支援いただきたいと思います。
2点提言をさせていただきます。
全国の事例を調べていると、シニアファーマーやシニア起業などに取り組んでいる自 治体が幾つかあります。兵庫県猪名川町では、団塊世代の農林業に関心があり新規に就農を希望する方を対象にシニアファーマー養成講座を開講したところ、多 くの受講希望者があったそうです。その後、講座の受講メンバーを中心にNPO法人が設立され、遊休農地を活用した農園運営を行っています。農園で収穫された農産物は道の駅で販売されているとのことです。
本市でも多くのシニアの方が家庭菜園でプロ顔負けのおいしい野菜を育ててみえます。シニアファーマーの育成は、遊休農地の活用保全や地産地消にもつながると思います。ぜひ調査研究を行っていただきたいと思います。
また、シニア世代の起業、こちらも講座などを開き支援を行っている自治体も多くあります。
今、私が感じていることは、シニア世代には非常に高い能力をお持ちの方が多いということです。地域の中でも、企業戦士として蓄積された技術やノウハウを発揮し、コミュニティや町内会、各種団体の運営に携わっておられる方がたくさんおら れます。会議ごとの議事録、毎月の会報、事業を行うときは、すばらしい企画書や事業計画、工程表が当たり前のように出てきます。この力を事業として地域で 必要な商品やサービスの提供にお使いいただければ、知多市はもっと活性化することと考えられます。
お気づきのことと思いますが、これらの提言内容は福祉の範疇を超えています。シニ ア世代は、もはや福祉を享受するだけの存在ではありません。知多あったか長寿プラン21知多市高齢者保健福祉計画第5次改訂の中のアンケートでは、働くことを継続したいと希望している方は2割以上おみえです。シニア起業講座の開講や融資制度の紹介、空き店舗あっせんなどをパッケージにした起業支援を調査研究していただきたいと思います。
今回の質問をさせていただくに当たり、地域のふれあいサロンやグラウンドゴルフの 会場に出向いてお話を伺いました。コース間の移動などゆっくりとゆっくりと歩いている方が、自分のボールを打った途端、そのボールに向かって走り寄る姿が 印象的でした。今、市内の地域運営の主役は、紛れもなくシニア世代の方々です。シニア世代の活動の範囲は広がり、福祉の範疇にとどまらない状況となっています。これは、多くの方が元気に御活躍をされているということで、大変よいことだと感じています。福祉に限らず、様々な分野と連携をとりながら、シニア世 代の生きがいづくりを支えることが重要だと思います。
シニア世代が生きがいを持って暮らしていただけるまちづくりの推進をお願いいたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○議長(江端菊和)
5番 林 秀人議員の質問を終わります。
(5番 林 秀人議員 自席へ移動)

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