一般質問 平成29年(2017年)3月議会

◆10番(林秀人) 
 皆さん、おはようございます。
 議長のお許しを得ましたので、先に通告の市税の現状と今後の取り組みについて質問をさせていただきます。
 最近の我が国の経済情勢について新聞報道では、海外経済は新興国の一部に弱さが残るものの、緩やかな成長が続いており、輸出は持ち直している。国内需要の面では、企業の業況感も幾分改善する中で、設備投資は緩やかな増加基調にある。また、雇用・所得環境の改善を背景に、個人消費は底がたく推移している。景気は緩やかな回復基調を続けており、先行きは緩やかな拡大に転じていくと見られるとしています。
 短期的な経済状況は、まずまず好調のようですが、その先を見通せば、急速に進行する少子高齢化とそれに伴う人口減少が労働投入の減少や国内需要の縮小を招き、中長期的な経済成長を阻害すると懸念されています。
 生産年齢人口は1995年をピークに減少に転じており、総人口も2008年をピークに減少に転じているのが実情です。本市においても、2015年をピークとして減少に転じており、2060年には6万4,000人まで減少することが推計されています。
 こうした中、国においては、人口の減少に歯止めをかけるとともに、東京圏への人口の過度の集中を是正し、それぞれの地域で住みよい環境を確保し、将来にわたって活力ある日本社会を維持していくために、平成26年にまち・ひと・しごと創生法を制定しました。その基本理念を尊重し、現在、国、地方公共団体、事業者が相互に連携を図りながら、多様な施策に取り組んでいるのは皆さん御存じのとおりであります。
 この人口減少の問題は本市の財政、特に市民税収入に大きな影響を及ぼすとされ、2015年度において約50億円の個人市民税収入が、2060年度には約35億円になると推計し、固定資産税についても、人口減少に伴う地価下落や新築家屋が減ることによる減少が想定されるとしています。本市の歳入も、経済状況や国家予算の影響を受けて変動します。中でも、市税収入は歳入に占める割合が大きく、行政活動を行う財源として、その状況を十分に把握しておく必要があると考えます。
 本市では、平成19年度に約159億円であった市税収入が24年度には約148億円へと減少し、その後は27年度の150億円へとやや回復していますが、今後の見通しについては不透明な部分があります。そこで、税額の推移と人口の動向を踏まえて質問をいたします。
 市税の現状と今後の取り組みについての1点目、賦課状況についての1つ目、市税収入の推移と現状について、2つ目として今後の見通しについて、今後3年間の市税収入見込みと将来的な見通しをお伺いいたします。
 次に、本市においては、知多市行財政改革プラン2016を新たに策定し、平成28年度から5か年にわたり行財政改革に取り組んでいるところであります。
 この中でも歳入、特に市税については今後も減少傾向は続くとのことであり、税収の確保が大きな課題となる中、収納対策の重要性が増しています。景気回復の先行きが不透明な現状において、中には納期までに納税できない方々もおみえになると思います。そうした方々の中で、平日は仕事でどうしても来庁できない方への相談窓口として、休日・夜間納税相談窓口を開設しているとお聞きをしています。
 また、個人県民税及び個人市町村民税を始めとした市町村税の滞納整理を推進する目的で、知多半島においては5市5町と知多県税事務所により構成される愛知県知多地方税滞納整理機構が設置されています。この機構は平成29年3月31日で設置期間が終了すると聞いておりますが、今後、機構はどうなるのか、存続されるのかどうかを現状における成果も含めてお聞きしたいと思います。
 そこで、2点目、収納対策についての1つ目、収納率について、2つ目、休日・夜間納税相談窓口の利用実績について、それぞれ過去5年間の実績をお伺いいたします。3つ目として、愛知県知多地方税滞納整理機構について、現状及び今後の予定をお伺いいたします。
 次に、市税は福祉、一般廃棄物処理、産業振興、土木、教育などの様々な仕事をするための費用を市民がその能力に応じて負担し合うという性格の税金で、私たちみんなが広く公平に分かち合って負担していくものです。
 私は税に求められる最も重要なことは、公平性の確保だと考えています。一口に公平と言いますが、いろいろな公平があります。消費税や市民税のように、金額によらず税率が変わらない税金がありますし、所得税や相続税のように、金額が多いほど税率が高くなる累進課税を採用している税もあります。そのほか、高齢化が進む中で最近よく言われているのが、世代間の公平です。これは国債や地方債を発行して、税負担以上の行政サービスを提供することは、サービスを受けない将来世代に負担を押しつけることになるので、将来世代の負担が過度にならないよう、世代間の公平を保とうとする考え方です。
 このように公平については様々な考え方があり、公平性を確保する方法も、税の目的などによって異なる仕組みで実現しています。公平を確保するための制度を整備することは重要ですが、もう一つ重要なことがあります。それは、実際の課税における公平です。同じ所得なのに課税されない人がいては、課税される人の納税意欲がそがれてしまいます。納税者が納得して納税するためには、実際の課税における公平の確保も大変重要になります。
 市では、公平性を確保するために様々な取り組みをしておられると思います。また、社会環境の変化により、今までにはなかった新たな課題も発生してきていると想像できますが、公平課税をする上で何が課題になっているのか、そして、今後、どのような取り組みを考えておられるのかについてお聞きしたいと思います。
 そこで3点目、公平課税への取り組みについての1つ目、税目ごとの取組実績と課題について、2つ目、今後の取り組みについてお伺いいたします。
 以上、壇上からの質問を終わります。
     (10番 林 秀人議員 降壇し質問席へ移動) ○議長(勝崎泰生) 
 市長。
     (市長 登壇) ◎市長(宮島壽男) 
 10番 林 秀人議員の質問にお答えいたします。
 御質問の1番目、市税の現状と今後の取り組みについてでございますが、市税収入は自治体が行政活動を行う財源として、非常に重要なものであります。本市においては、生産年齢人口及び給与所得の減少などから、市税収入の大幅な増は見込めない状況ではありますけれども、公平課税に努め、市税に対する納税者の信頼感を高めるとともに、収納率向上を図り、安定的な税収確保に努めてまいります。
 御質問の1点目から3点目までにつきましては、総務部長から答弁させますので、よろしくお願いいたします。
     (市長 降壇) ○議長(勝崎泰生) 
 総務部長。 ◎総務部長(淺田文彦) 
 御質問の1番目、市税の現状と今後の取り組みについての1点目、賦課状況についての1つ目、市税収入の推移と現状についてでございますが、税収は本市のピークである平成9年の約170億円から償却資産の減価などにより、18年度には約149億円に減少しましたが、19年度の所得税から住民税への税源移譲によって、約159億円まで増加しました。その後は、リーマンショックの影響などから、24年度には約148億円まで再び減少しましたが、近年は横ばいで推移し、27年度の決算では約150億円となっています。
 また、税収に占める割合を税目ごとに比較しますと、平成27年度決算での法人市民税の割合は3.8パーセントで、全国平均の11.0パーセントよりも7.2ポイント低く、固定資産税では51.8パーセントで全国平均の41.5パーセントよりも10.3ポイント高くなっており、法人市民税が少なく、固定資産税の割合が高い本市の特徴があらわれています。
 次に、2つ目、今後の見通しについてでございますが、まず、今後3年間の見込みについては、財政計画策定時の見込み額を予算額に置きかえますと、平成29年度は147億7,000万円、30年度は144億7,000万円、31年度は143億4,000万円となっています。将来的な見通しとしては、1970年代生まれのいわゆる団塊ジュニア世代の就労状況が個人市民税に大きな影響を与えます。本市では、現在、38歳から47歳までの人口は約1万3,500人で前後の世代との比較では3割以上多くなっています。
 そのため、この世代が定年を迎える2030年からの10年間は生産年齢人口の減少が顕著になるとともに、高所得者の退職が増加することから、市民税の大幅な減少が見込まれます。
 また、固定資産税については、人口減少によって土地・家屋ともに長期的な下落傾向、償却資産も減少傾向であり、今後の設備投資の状況にもよりますが、大型投資がなければその傾向は変わらないものと見込んでおります。
 一方、今後、計画されている土地区画整理事業や企業誘致などの成果が将来的な増加要因として見込まれるほか、リニア中央新幹線の開業や西知多道路の開通による地域経済の活性化が税収増をもたらすものと期待しております。
 次に、2点目、収納対策についての1つ目、収納率について、過去5年間の実績でございますが、平成23年度の市税収納率は95.07パーセント、24年度が95.36パーセント、25年度が95.95パーセント、26年度が96.57パーセント、27年度が97.20パーセントと毎年わずかながら上昇しております。
 次に、2つ目、休日・夜間納税相談窓口の利用実績についてでございますが、休日・夜間ともにそれぞれ毎月1回、年間延べ24日間開設しております。初めに、休日納税相談窓口の利用実績でございますが、平成23年度が67件、24年度が83件、25年度が93件、26年度が71件、27年度が63件でございます。次に、夜間納税相談窓口の利用実績でございますが、23年度が44件、24年度が37件、25年度が51件、26年度が58件、27年度が71件です。
 次に、3つ目、愛知県知多地方税滞納整理機構についてでございますが、現在、県内を6ブロックに分け、地方税滞納整理機構が設置されています。知多半島におきましては、平成23年度に知多県税事務所に愛知県知多地方税滞納整理機構が設置されました。本市からも、毎年、職員1名を派遣しており、28年度は当初機構へ引き継ぎした103件について、派遣職員が滞納整理に当たっています。こうした市単独では解決が困難な案件について、滞納処分を前提とした納税交渉や財産調査など、滞納整理を進めることで確実に収納率の向上に結びついています。
 また、機構での経験は派遣職員の徴収技術の向上のみならず、他の職員への技術伝承にも大きな成果を上げているところであります。当初、機構の設置期間は平成23年度から3年間の予定でありましたが、参加自治体からの強い継続要望により、26年度から3年間の期間延長がなされており、さらに29年度からも再度3年間延長されることとなっております。
 次に、3点目、公平課税への取り組みについての1つ目、税目ごとの取組実績と課題についてでございますが、まず個人市民税では、毎年確定申告時期に申告相談を実施しており、昨年度の実績は7,165件でした。また、未申告者への対応としては、600人に対して文書などにより申告を促しています。法人市民税では、未申告法人等の30件について調査し、実態の把握に努めました。
 固定資産税の取り組みとしては、5年に一度、市内全域の航空写真を撮影し、前回の写真と比較して異動のある土地・家屋を把握し、課税台帳と照合しています。今年度は土地1,509筆、家屋1,414棟の不一致がありましたので、今後調査を進めてまいります。
 償却資産では、税務署などに提出された資料をもとに把握した新規事業者などの申告指導を行っています。
 公平課税に係る課題としては、市街化区域の雑種地と市街化調整区域の雑種地の税額格差がございます。駐車場や太陽光発電施設など、同じような状態の土地でありながら、市街化区域と市街化調整区域では、土地に係る税額に大きな開きがあることは課題であると考えています。
 次に、2つ目、今後の取り組みについてでございますが、先に課題として申し上げました雑種地の市街化区域と市街化調整区域における税額格差の是正については、何らかの対応が必要と考えております。
 多くの市町村では、市街化調整区域の雑種地にも、宅地比準評価を導入しており、知多5市5町では、本市、半田市、武豊町を除く3市4町が導入済みです。さらに、半田市及び武豊町も平成30年度評価替えにおいて導入する準備を進めているとのことでございます。本市においても、駐車場などの雑種地に加え、太陽光発電施設が増加しており、今後も対象土地の増加が見込まれることから、予定では、雑種地を対象とした宅地比準評価の30年度導入に向けて準備を進めてまいりますので、よろしくお願いいたします。 ○議長(勝崎泰生) 
 林議員。 ◆10番(林秀人) 
 各質問に対し、詳細なる答弁ありがとうございました。
 ただ今の答弁を踏まえて、再質問をしたいと思います。
 まず1件目は、2点目、収納対策についての1つ目、収納率についてであります。答弁によると、平成23年度以降、収納率は上昇を続けているとのことでしたが、その要因として何が考えられるのか、収納率上昇の具体的な取組事例がありましたら御答弁願います。 ○議長(勝崎泰生) 
 総務部長。 ◎総務部長(淺田文彦) 
 御質問の件につきましては、先の知多地方税滞納整理機構における滞納整理のほか、休日・夜間の納税相談窓口の開設、さらには年2回の滞納整理強化月間を設け、組織を挙げて滞納者宅への訪問を実施しています。
 今年度は5月と11月に延べ26日間実施し、504件の訪問を行いました。これらの取り組みが収納率の上昇に結びついていると考えておりますので、よろしくお願いいたします。 ○議長(勝崎泰生) 
 林議員。 ◆10番(林秀人) 
 ありがとうございました。相談窓口の開設や組織を挙げての滞納整理の実情がよくわかりました。また、滞納整理機構の重要性も再認識することができました。大変な業務だとは思いますが、今後も公平・公正な納税確保に尽力していただきたいと思います。
 次に、2件目は、3点目、公平課税への取り組みについての答弁で、雑種地を対象とした宅地比準評価の導入を準備しているとのことでしたが、評価額の見直しに伴う税負担増加への対応についてお伺いをいたします。 ○議長(勝崎泰生) 
 総務部長。 ◎総務部長(淺田文彦) 
 御質問の件につきましては、土地の状態が変わらずに、見直し後の新たな評価額と前年度の課税標準に乖離がある場合には、納税者の税負担が急激に上昇しないよう、負担調整措置があります。
 固定資産税は、課税標準に税率を乗じて税額を求めますので、課税標準を段階的に上げることによって税負担を調整します。雑種地の評価見直しにおいては、初年度の課税標準を見直し後の評価額の20パーセントとし、その後は評価額の5パーセントを毎年加算します。初年度の評価額が変わらないと仮定しますと、9年目に課税標準が上限である評価額の60パーセントになるものでございますので、よろしくお願いいたします。 ○議長(勝崎泰生) 
 林議員。 ◆10番(林秀人) 
 ありがとうございました。宅地並みの課税によって評価額が上がっても、税負担が急上昇しないような方法がとられるとわかり、安心をいたしました。
 ここで要望いたします。市税収入は市の歳入の根幹であります。しかしながら、これまでの答弁を伺うと、人口減少に伴い、今後、確実に税収が減少すると推測されております。もち論、あくまでも推測であり、減収が推測されているからこそ、様々な施策を講じ、増収を目指しているわけであります。
 何度も提言をさせていただいておりますが、知多市は雇用や商業など、市税収入に直結する部分の規模が近隣市の半分程度しかありません。この分野への投資を積極的に行っていただきたいと思います。
 将来への準備は着々と進めていかなくてはなりませんが、現状は依然厳しい財政運営が求められています。こうした中、納税者が不公平感を抱かないような公平かつ公正な課税がなされなければなりません。市では公平課税に向けた新たな取り組みを考えておられますが、課税だけではなく納税についても公平性が保たれなければならないと思います。真面目に納税義務を果たしている市民の皆さんが不公平感を抱かないように法令を遵守し、粛々と滞納整理に当たっていただきたいと思います。もち論、事情があって納税困難な市民の方には、真摯な態度で納税相談を行い、完納に導いてほしいと願っております。
 市長の施政方針にもありましたが、生活困窮者の自立支援相談事業も開始されております。こうした関係窓口と連携して、資力に見合った納税交渉を進めていただきたいと思います。実際、窓口で税金の徴収に当たっている職員の皆さんは、日々、大変の御苦労をなさっていると思いますが、公平かつ公正な税負担を肝に銘じ、今後とも職務に励んでいただきたいと思います。
 また、平成29年度以降も引き続き、知多地方税滞納整理機構が設置されるとのことですが、派遣される職員の方も、収納課や関係各課と連携して、職務を全うしていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 以上で私の一般質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○議長(勝崎泰生) 
 10番 林 秀人議員の質問を終わります。

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