一般質問 平成26年(2014年)3月議会

◆5番(林秀人)
皆様、おはようございます。議長のお許しを得ましたので、先に通告をいたしました産業振興によるまちづくりについてお伺いいたします。
産業振興によるまちづくりは、市長のスローガン「笑顔あふれる明るく元気な知多市 をめざして」を実現するための3つの重点項目、「安全で強靭なまちづくり」「住み良いまちづくり」「産業振興によるまちづくり」のうちの1つであります。 今回の一般質問は、昨年の12月議会において小坂議員の一般質問に対する市長の答弁に感動を覚え、特に産業振興についてお聞きいたしたいと思いましたの で、質問をさせていただきます。
それは、小坂議員の市長が目指す知多市のビジョンについてという質問に対する市長の答弁で、特に私の心に残ったのが次の4点です。
1点目、超高齢社会が進む中で、若い世代、特にファミリー層に市外から知多市に移り住んでいただきたいと考えている。
2点目、ファミリー層の方たちにとっての魅力的なまちとは、交通至便性の向上と楽しく買い物ができること、家族で遊べるところがあることではないか。
3点目、買い物を楽しくできるまちにするには、市内の商業地域を広げ、若い人たちにとっての魅力ある商業エリアを設け、積極的に商業誘致を展開していく必要があると思っている。
4点目、本市の大きな課題は若者の就業先が少ないこと。昼夜間人口比率は県下の市で最も低い。工業に限らず、商業も含めて優良な企業、活力ある企業、女性の就業が期待できる企業を誘致することが大切だと思っている。
これらの答弁を聞き、私はとても心強く感じました。就任されてからの短い時間の中で的確に現状の本市の課題を見抜き、その対応をビジョンにあらわしておられると感じた次第であります。
一方で、知多市にとって大変厳しい現実もあります。私は、住宅都市、知多市のシン ボルとも言える朝倉団地のこれからの姿について調査・研究をしています。その中で、独立行政法人都市再生機構、いわゆるUR都市機構が管理する賃貸住宅の 再生・再編を行うことを知りました。これは、本格的な少子高齢化、人口・世帯減少社会の到来に伴い、将来の賃貸住宅需要の低下が見込まれることから、全国 のUR賃貸住宅の管理戸数を削減していくという内容です。しかし、全ての団地を一律に削減するのではなく、幾つかの類型に分類し再生・再編することが方針 として示されています。
朝倉団地は、団地再生の手法として集約という方法が計画されています。集約とは、 団地の一部の住棟を除去して規模を縮小し、残りの住棟を引き続き維持・管理するという手法です。県内では、この集約という手法で再生・再編が計画されているのは、春日井市の高蔵寺ニュータウン7団地のうちの1つ、高森台と本市の朝倉団地の2つのみです。県内の大多数の団地は、ストック活用という引き続き現 在のストックを改善しながら維持・管理していく手法がとられる計画です。ストック活用では戸数の削減はありません。
私は、この分類を見て愕然としました。知多市は、将来的に住宅需要の増加が見込めないばかりか、減少すると判断されているのです。今まさに本市は、産業振興によるまちづくりへの取り組みを加速させ、雇用を増やし、人口の定住化、流入促進を図る必要があると言えます。
それでは、質問に入ります。
都市計画マスタープランにおいて、新南地区、大興寺地区、日長地区が工業系の新市 街地として位置付けられています。中でも大興寺地区と日長地区の2地区については、施政方針演説で、次期企業用地を検討するための基本構想を作成し、市内 の産業振興や雇用促進が図られるよう努力するとの発言もありました。これらの企業誘致が市長の産業振興のまちづくりにおける大きな柱になると考えますが、 現在の浦浜工業団地に加え、これら企業誘致の考え方について伺いたいと思います。
1点目、企業誘致についての1つ目、現状について。
2つ目、基本的な考えについて。
3つ目、今後の進め方について。
同じく、12月議会定例会における市長の答弁では、市内の商業地域を広げ、若い人たちにとって魅力ある商業エリアを設け、積極的に商業誘致を展開していく必要があると思っているとの答弁がありました。そこで、商業誘致の考え方について伺いたいと思います。
2点目、商業施設の誘致についての1つ目、現状について。
2つ目、基本的な考えについて。
次に、1点目及び2点目の産業振興によるまちづくりが図られることによる、本市における効果について伺いたいと思います。
3点目、産業振興により期待される効果について。
以上お伺いして、壇上からの質問を終わります。
(5番 林 秀人議員 降壇し質問席へ移動)
○議長(江端菊和)
市長。
(市長 登壇)
◎市長(宮島壽男)
5番 林 秀人議員の御質問にお答えいたします。
御質問の1番目、産業振興によるまちづくりについてでございますが、産業振興は、 市の財政基盤である税収を安定させ、市民生活を支えるための重要な施策であります。地方財政計画でも地域経済の活性化等に重点が置かれた計画となっており ます。本市におきましても、産業振興の強化に向けた取り組みを進めていくところであります。
御質問の1点目から3点目までにつきましては産業経済部長から答弁させていただきますので、よろしくお願いいたします。
(市長 降壇)
○議長(江端菊和)
産業経済部長。
◎産業経済部長(平松茂久)
御質問の1番目、産業振興によるまちづくりについての1点目、企業誘致についての 1つ目、現状についてでございますが、知多浦浜工業用地・住宅用地開発事業における進捗状況は、工業用地については9社に分譲し、残り3,000平方メー トル、1区画となっております。このうち5社が操業中で、5月には、現在、建築中の工場1社が操業する予定と聞いております。また、店舗用地は6区画のうち5区画を分譲し、住宅用地は28区画中22区画が分譲済みとなっております。
次に、2つ目、基本的な考えについてでございますが、市内において末永く企業活動 を行っていただける優良な企業を誘致し、雇用の場を確保することは、今後の本市の発展にとりまして重要な要素の1つであると認識いたしております。誘致すべき企業としては、本市の産業に対し波及効果の高い、工業をリードする中核企業、ものづくりの基盤技術を持った企業、成長産業に関連する企業を基本に、企 業誘致を図るべきと考えております。そのために、企業用地の創出を始め奨励制度の整備、規制の緩和、女性の社会進出を支える子育て環境の整備などは企業誘 致にとって不可欠であると考えております。
次に、3つ目、今後の進め方についてでございますが、知多市都市計画マスタープラ ンに拡大工業地エリアとして位置付けている浦浜地区、新南地区、大興寺地区、日長地区のうち、浦浜地区は1区画を残すのみとなっております。新南地区は、 工業系の新市街地整備地区として今年度より整備計画案の策定等を行っているところです。また、大興寺地区、日長地区につきましては、来年度に次期企業用地 基本構想を策定する計画であり、この基本構想の中で計画区域の概算工事費や用地費を含めた全体事業費を算出し、採算性などを検討してまいります。
次に、2点目、商業施設の誘致についての1つ目、現状についてでございますが、本 市は昭和42年に当初の用途地域が定められ、寺本駅、新舞子駅、巽ヶ丘駅の周辺部に商業地域が定められました。その後、名古屋圏のベッドタウンとして新市 街地の宅地開発が進み、その地区ごとに居住する者が日用品を買い物できるよう商業地が配置されてきました。こうした状況の中で、本市の小売業の年間商品販 売額は平成24年度の経済センサス活動調査によると375億8,400万円となっており、知多半島の他市と比較すると低い状況となっております。
次に、2つ目、基本的な考えについてでございますが、第5次知多市総合計画策定に 向けた市民アンケート調査によると、買い物等をしやすくするための商業地づくりについては、日常品を扱う身近な商店街を充実するという意見が最も多くあり ました。知多市都市計画マスタープランでは、各地区の中心地においては日常生活を支える身近な商業地の形成を図るとともに、各地区内の幹線道路沿道においては、住宅地としての土地利用を基本としつつ、日常生活を支える商業機能の誘導を図るものとしております。また、西知多道路金沢地区インターチェンジ周辺 においては、拠点形成検討地区として、広域交通体系による立地ポテンシャルを活用した交流機能等の誘導を検討しているところです。
次に、3点目、産業振興により期待される効果についてでございますが、企業進出に よる直接的効果として市民の雇用機会の増加、市税の増加、従業員の市内定住による人口の増加などが期待されます。間接的効果として、人・物・お金が動くことによる経済活動の活性化や人口の増加に伴う地域の活性化などが考えられます。また、今後、一層の高齢化の進展が見込まれる中、身近なところで食料品や生 活用品の買い物ができるとともに様々なサービスの提供を受ける場としての店づくりや、地域を盛り上げるための若者たちが集う魅力的な店づくりを促進することにより、商業の活性化などの効果が期待されますので、よろしくお願いいたします。
○議長(江端菊和)
林議員。
◆5番(林秀人)
御答弁ありがとうございます。それでは、再質問させていただきます。
浦浜工業団地について、分譲済み9社の雇用数の見込みはどの程度になるか、お聞きいたします。
○議長(江端菊和)
産業経済部長。
◎産業経済部長(平松茂久)
御質問の件につきましては、現在、操業していない企業もありますので、企業から提出された計画数値によるものですが、約690人の従業員が従事する予定となっておりますので、よろしくお願いいたします。
○議長(江端菊和)
林議員。
◆5番(林秀人)
次に、市民アンケートでは既存の工業地等を有効に活用するという回答が最も多いですが、なぜ工業団地を新設するのか、お聞きいたします。
○議長(江端菊和)
産業経済部長。
◎産業経済部長(平松茂久)
御質問の件につきましては、平成20年度に実施いたしました第5次知多市総合計画 策定に係る新たなまちづくりのための市民アンケートにおきまして、御質問にあった回答のほかに、交通の利便性等を活かせる場所に住環境に配慮した工業団地 をつくる、また、郊外を中心にまとまりのある工業団地をつくるといった工業振興による地域の活性化を望む回答が全体の74.4パーセントを占めました。市 内の既存の工業団地といたしましては大興寺工業団地と臨海部がございますが、現状ではともに空き地はなく、最大限有効活用されており、さらなる活用は難しい状況となっております。このため、知多市都市計画マスタープランにおいて浦浜地区、新南地区、日長地区、大興寺地区を拡大工業地エリアとして位置付けて おりますので、よろしくお願いいたします。
○議長(江端菊和)
林議員。
◆5番(林秀人)
次に、製造業の海外移転や国内産業の空洞化など、企業誘致には難しい状況も発生してきております。今後の企業誘致における環境分析についてお聞きいたします。
○議長(江端菊和)
産業経済部長。
◎産業経済部長(平松茂久)
御質問の件につきましては、製造業の海外移転の傾向は一時期のピークは過ぎたもの の、依然、国内の投資は低調に推移しています。国内においても、東北や九州地方などに注目が集まっており、東海地方においては引き続き厳しい状況が続いて いると認識しております。こうした中、愛知県では将来的に市場の拡大が見込まれる次世代産業の育成に一早く取り組んでおり、本市といたしましても、こうした多角的な連携に参画することで、より効果的な企業誘致を進めることができると考えております。
具体的には、スイスの燃料電池自動車、いわゆるFCVの関連につきましては、あい ちFCV普及促進協議会に加入し、また発展著しい航空宇宙産業の関連につきましては、国際戦略総合特区指定に基づくアジアNo.1航空宇宙産業クラスター 形成特区推進協議会への加入が本年2月に認められたところです。また、市の独自の取り組みとして、知多市産業立地奨励制度におきまして、水素燃料電池や航 空宇宙関連の企業の投資に対して他の業種と比べ優遇措置を設けており、今後とも積極的に次世代産業の誘致を図りたいと考えておりますので、よろしくお願い いたします。
○議長(江端菊和)
林議員。
◆5番(林秀人)
次に、市民アンケートの自由意見で全ての分野の中で最も多かった意見について、どのような意見があったかお聞きいたします。
○議長(江端菊和)
産業経済部長。
◎産業経済部長(平松茂久)
御質問の件につきましては、商店・レストランが少ないという意見が31件寄せられており、最も多い意見でしたので、よろしくお願いいたします。
○議長(江端菊和)
林議員。
◆5番(林秀人)
次に、小売業の年間商品販売額が知多半島の他市と比較して低い状況となっていますが、他市の額と市民1人当たりの額をお聞きいたします。
○議長(江端菊和)
産業経済部長。
◎産業経済部長(平松茂久)
御質問の件につきましては、年間消費販売額は半田市が1,079億6,900万 円、東海市が858億8,900万円、大府市が692億7,000万円、常滑市が374億1,000万円という状況でございます。また、市民1人当たりの 額については、半田市が90万1,387円、東海市が77万8,206円、大府市が79万9,073円、常滑市が66万5,362円、知多市が44万 3,972円という状況でございますので、よろしくお願いいたします。
○議長(江端菊和)
林議員。
◆5番(林秀人)
次に、西知多道路金沢地区インターチェンジ周辺に交流機能等の誘導を検討されているとのことですが、交流機能とは具体的にどのようなものを想定されているのか、お聞きいたします。
○議長(江端菊和)
産業経済部長。
◎産業経済部長(平松茂久)
御質問の件につきましては、道の駅や軽食・地域特産品の販売、農産物の直売コーナーなどを設けた地域振興施設などを想定しておりますので、よろしくお願いいたします。
○議長(江端菊和)
林議員。
◆5番(林秀人)
それぞれの質問に対して答弁をいただき、ありがとうございました。市長ビジョンの実現に向けて着実に取り組まれていることを確認することができました。
冒頭、檀上でも申し上げましたが、UR都市機構により朝倉団地は集約という、規模 を小さくする形で再生・再編される計画です。これが客観的な評価であり、まずは受け入れなければならないと思います。しかし、本市はこれからまだまだ発展 する計画を持っています。発展を続けるための提言として要望を述べさせていただきます。
企業誘致は今後、進められていきますが、すぐにできるわけではありません。そこ で、どうか今、市内で操業されている企業・商店等の事業環境の改善に力を入れていただきたいと思います。今、市内で操業されている企業・商店さんは、バブ ル崩壊やリーマンショックを乗り越えられたいわば精鋭です。支援の必要性は少ないと考えます。しかし、さらなる発展を促進するための環境整備は行っていた だきたいと思います。そのための1つの提言として、中小企業振興基本条例の制定を視野に入れていただきたいと考えます。
県は、2012年10月に中小企業振興基本条例を制定しています。背景として、大 企業が海外に生産拠点を移転させている中で、県税の収入源として中小企業の占める割合が大きくなってきたということがあります。県の中小企業振興基本条例 に関する資料によると、県内企業の99.7パーセントが中小企業であり、県内の常用雇用者・従業者の66.6パーセントが中小企業で働いています。中小企 業は県内の経済と雇用を支える主役であります。また、地域に根差した存在である中小企業は、地域の防犯・防災、環境美化、祭り、伝統文化の保存などに取り 組み、地域社会に貢献する主体でもあります。このような中小企業の重要性から、中小企業の振興のための条例である中小企業振興基本条例を制定する市町が県 内にも出てきました。また、県内ではありませんが、大阪府八尾市の事例なども参考になると思います。ぜひ研究していただきたいと思います。
ポイントとしては、この条例は行政だけで決めるのではなく、産業振興会議等の市民 参加の討議の場を設け議論しながら、本市の実情に合わせた条例づくりをしていくことだと考えます。こうした既存の中小企業の推進・活性化といった土台の上 に、本市におけるよりよい企業誘致に向けた研究・環境整備を行っていただき、既存中小企業の発展とともに優良な企業誘致の推進を図っていただきたいと思い ます。
それから、商業についてですが、先ほどの答弁にもありましたように、市民アンケートの自由意見では商店・レストランが少ないという御意見が最も多いようです。市内では空き店舗も増加していると感じます。お店が増えるよう施策を講じていただきたいと思います。
最後になりますが、私は市長のビジョンに賛同いたします。今回質問をさせていただ いた企業誘致、商業施設の誘致を通して、先ほど例としてお示ししました朝倉団地にとどまらず、市内全域の活力となるようなまちづくりを期待しています。私 もともに、本市を楽しく買い物ができるまち、若者が働けるまち、子どもたちが住み続けることができるまちにしていきたいと思っています。みんなで力を合わせて取り組んでいきましょう。
以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○議長(江端菊和)
5番 林 秀人議員の質問を終わります。
(5番 林 秀人議員 自席へ移動)

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